喪中はがき 文例はこれで安心|形式別に学ぶ書き方の基本

身内に不幸があった際に送る喪中はがきは、年賀欠礼の挨拶として重要な役割を担っています。しかし、初めて作成する方にとっては「どのような文面にすればよいのか」「マナーを守れているか」といった不安があるでしょう。この記事では、喪中はがきの基本的な書き方から具体的な文例まで、一般的なマナーを踏まえて詳しく解説します。

目次

喪中はがきとは何か

喪中はがきは、身内に不幸があったことを知らaせ、年賀状のやり取りを控える旨を伝える年賀欠礼状です。

喪中はがきは、正式には「年賀欠礼状」と呼ばれる挨拶状の一種です。家族や親族に不幸があった場合、喪に服している期間中は祝い事を控えるという日本の慣習に基づいて送られます。

通常の手紙やはがきとは異なり、弔意を込めた簡潔で丁寧な文章で構成されることが特徴です。派手な装飾や個人的な近況報告は避け、故人への哀悼の意と年賀状を控える旨を伝えることが主な目的となります。

喪中はがきを受け取った方は、その家庭に年賀状を送ることを控え、代わりに寒中見舞いを送るのが一般的なマナーとされています。

喪中はがきの基本的な文例と書き方

喪中はがきの文面は、冒頭の挨拶・喪中の説明・結びの挨拶の3つの要素で構成されます。

冒頭の挨拶文の書き方と文例

喪中はがきでは、通常の手紙で使用する前文(時候の挨拶など)は省略します。いきなり本題から始めることが普通です。

また、「年賀」という言葉には「賀」という祝いの意味が含まれているため、喪中はがきでは使用を避けます。代わりに「年始」「年頭」「新年」といった表現を使用してください。

以下が冒頭の挨拶文の基本的な文例です。

  • 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます。
  • 喪中につき新年のご挨拶は差し控えさせていただきます。
  • 喪中につき年頭のご挨拶を失礼させていただきます。
  • 年始のご挨拶を控えさせていただきます。

喪中の説明文の書き方と注意点

冒頭の挨拶に続いて、どなたが亡くなったのかを簡潔に説明します。記載する内容は故人の続柄・氏名・亡くなった時期・年齢が基本となります。

故人の氏名については、差出人と姓が同じ場合は名前のみの記載でも問題ありません。年齢は従来の数え年ではなく、実年齢での記載が一般的になっています。

基本的な説明文の文例をご紹介します。

  • 本年○月に父○○が○歳にて永眠いたしました。
  • 去る○月 母○○が天寿を全ういたしました。
  • 本年○月○日に妻の父○○が○歳にて永眠いたしました。
  • ○月に祖母○○が○歳で他界いたしました。

結びの挨拶文の文例とマナー

喪中はがきの最後には、相手の健康や来年の平穏を祈る言葉で締めくくります。ここでも「賀」の字を含む表現は避けることが重要です。

結びの挨拶では、受け取る方への気遣いを示すとともに、今後も変わらない関係を望む気持ちを表現します。以下が代表的な文例です。

  • 時節柄一層のご自愛のほどお祈り申し上げます。
  • 明年も変わらぬご交誼をお願い申し上げます。
  • 皆様におかれましては良いお年をお迎えください。
  • 寒さ厳しき折、お体を大切にお過ごしください。
  • 本年中に賜りましたご厚情を深謝いたします。

喪中はがきに記載する続柄の一覧

喪中はがきを出すべき続柄には一定の範囲があり、一般的には二親等までとされています。

0親等(配偶者)の場合

配偶者は最も身近な家族であり、必ず喪中はがきの対象となります。

記載例は以下の通りです。

一親等の親族の場合

一親等には実の父母、義理の父母、子どもが含まれます。これらの親族が亡くなった場合は、喪中はがきを出すのが一般的です。

一親等の続柄表記例は以下の通りです。

  • 父・母
  • 義父・義母(妻の父・妻の母、夫の父・夫の母)
  • 長男・長女・次男・次女
  • 息子・娘

二親等の親族の場合は以下の通りです

二親等には兄弟姉妹、祖父母、孫などが含まれます。二親等の場合は、同居していたかどうかや関係の深さによって判断が分かれることがあります。

二親等の続柄表記例は以下の通りです。

  • 兄・弟・姉・妹
  • 祖父・祖母
  • 義兄・義弟・義姉・義妹

夫婦連名で喪中はがきを出す場合は、世帯主(一般的には夫)を基準として続柄を記載することが慣例となっています。

喪中はがきのマナーと重要な注意点

喪中はがきには守るべきマナーがいくつかあり、これらを理解しておくことで失礼のない挨拶状を作成できます。

投函時期と送付タイミング

喪中はがきの投函時期は、11月上旬から12月上旬までが適切とされています。遅くとも12月初旬までには相手に届くようにしましょう。

これは、受け取った方が年賀状の準備を始める前に知らせる必要があるためです。12月中旬以降に送ると、すでに年賀状を準備している可能性が高くなり、相手に迷惑をかける恐れがあります。

年内に不幸があった場合は可能な限り早めに送付し、年末近くに不幸があった場合は寒中見舞いとして年明けに送ることも選択肢の一つです。

使用してはいけない言葉と表現

喪中はがきでは、祝いの意味を含む言葉の使用を避ける必要があります。特に「年賀」という言葉は「賀」が祝いを意味するため使用できません。

代替表現として以下を使用してください。

  • 「年賀」→「年始」「新年」「年頭」
  • 「賀正」「迎春」などの年賀状用語は一切使用しない
  • 「おめでとう」などの祝賀表現も避ける

文面の書式とデザインのルール

喪中はがきの文面には、通常の手紙とは異なる書式ルールがあります。句読点の使用を避け、一字下げも行わないのが慣例です。

デザイン面では、派手な装飾や明るい色使いは避け、黒または薄墨色の文字を使用します。市販の喪中はがき用紙を使用するのが最も無難で確実です。

近況報告や個人的な内容は記載せず、必要最小限の情報のみを簡潔に伝えることが重要です。

シーン別の喪中はがき文例集

実際の状況に応じて、基本的な文例をアレンジする必要がある場合があります。

葬儀後に通知が遅れた場合の文例

故人の遺志や家庭の事情により、葬儀を身内だけで執り行った場合は、通知が遅れたことへのお詫びを文面に含めます。

以下が参考文例です。

「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年○月に父○○が○歳にて永眠いたしました
本来ならすぐにお知らせすべきところでしたが故人の遺志もありまして葬儀は身内で執りおこないました
通知が遅れましたことをお詫び申し上げます
時節柄一層のご自愛のほどお祈り申し上げます」

同じ年に複数の方が亡くなった場合の文例

一年の間に複数の家族が亡くなった場合は、亡くなった時期の順番に記載するのが一般的です。

文例をご紹介します。

「喪中につき新年のご挨拶は差し控えさせていただきます
本年○月に祖父○○が○歳にて
本年○月に祖母○○が○歳にて永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情を深謝いたします
明年も変わらぬご交誼をお願い申し上げます」

故人の詳細情報を記載しない場合の文例

プライバシーの観点から故人の情報を詳しく記載したくない場合は、年始の挨拶を控える旨と感謝、祈念の言葉のみで構成することも可能です。

「年始のご挨拶を控えさせていただきます
本年中はひとかたならぬご厚情をいただき心より感謝申し上げます
皆様におかれましては良いお年をお迎えください」

法人・会社として送る場合の文例

会社の代表者や重要な役職者が亡くなった場合、法人として喪中はがきを送ることがあります。この場合は会社名、故人の役職、氏名を明記し、お世話になったことへの感謝を表現します。

「喪中につき年頭のご挨拶を失礼させていただきます
弊社会長○○○○が本年○月に○歳にて永眠いたしました
生前中は格別のご厚情を賜り厚く御礼申し上げます
明年も変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます

喪中はがきを送る前の最終チェックポイント

喪中はがきを投函する前に、マナーと内容の最終確認を行いましょう。

文面の確認事項

まず、「年賀」などの祝賀表現が含まれていないか確認してください。句読点や一字下げが使用されていないか、文字色は適切かなど、書式面もチェックが必要です。

故人の続柄、氏名、年齢に間違いがないか、投函時期は適切かなど、基本的な情報の正確性も重要なポイントです。

送付先の整理と確認

喪中はがきを送る相手の範囲を明確にし、住所録の整理を行います。年賀状を例年交換している相手には基本的に送付し、ビジネス関係者には会社の方針に従って判断しましょう。

送付漏れや重複送付を避けるため、送付リストを作成して管理することをお勧めします。

受け取った側の対応について

喪中はがきを受け取った方は、その家庭に年賀状を送らず、代わりに1月7日以降に寒中見舞いを送るのがマナーです。このことを理解した上で、自分が送る際の参考にしてください。

この記事では、喪中はがきの基本的な書き方から具体的な文例、マナーまでを詳しく解説しました。適切な文例とマナーを参考にすることで、失礼のない喪中はがきを作成できるでしょう。

喪中はがきを作成する際に重要なポイントをまとめると以下の通りです。

  • 11月上旬から12月上旬までに投函する
  • 「年賀」などの祝賀表現は使用しない
  • 句読点や一字下げは避ける
  • 故人の続柄・氏名・時期・年齢を正確に記載する
  • 簡潔で丁寧な文面を心がける
  • 派手な装飾は避け、黒または薄墨色の文字を使用する

故人への思いと受け取る方への配慮を込めて、マナーに沿った喪中はがきを作成してください。文例を参考にしながら、それぞれの状況に適した文面を選択し、心を込めて送付しましょう。

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